土佐遊湯連(とさゆうゆれん)

肩までつかって解毒する

(内田脳神経外科理事長 内田泰史)

近年、日本人の平均体温は下がっています。

これは最近の入浴習慣と無縁とは言えないでしょう。

今では、風呂場は「体の汚れを洗い流す場所」と考えられています。

しかし本来、日本人にとって風呂は「くつろぎの場所(精神的再生の場)」であり、同時に「体を温め血行をよくする場所(肉体的再生の場)」であり、免疫力を高める場でもあったはずです。

シャワー文化が浸透したことでも、「風呂では体を温め心身の疲れをとる」ということが忘れられてしまっているようです。

シャワーは効率的ではありますが、体の表面の汚れは流せても、代謝は活発にはならないので、血液中の老廃物は排出されません。

温泉につかると、温泉の成分が体内に取り込まれるだけでなく、血液中の老廃物が汗とともに排出されるのです。


全身の血行がよくなるということは、解毒作用が働くだけでなく、栄養分が血液によって運ばれながら全身の細胞に行きわたることになります。

病気の予防に欠かせません。

また、入浴すると血栓を溶かすプラスミンという酵素が増えます。

これによって心筋梗塞、脳梗塞といった血栓病の予防にもつながるのです。


ゆったりと風呂にはいると額に汗が出てきます。

このころ、体温は1度上がっています。

体温が1度上昇すると、免疫力は5~6倍に高まります。

広々とした露天風呂に入ると、癒しの脳波アルファ波が増幅します。

体温より4度ほど高めのお湯にゆったり気持ち良くつかっていると、副交感神経が優位になり、心も体もリラックスできるのです。

このこともまた免疫力を高め、長生きの秘訣となります。


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